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7月16日(日)の夜、演奏会で来日していたベルリン・フィルのマンフレッド=プライス氏を囲んで飲み会(リード調整講座つき)がありました。前日の夜に、HP管理者Ed氏が関係者に声をかけて行ったもので、前日に夜の招集にもかかわらず8人も集まってしまいました。このような交流の場に出たいという積極的な人が多いのか、Ed氏のすがるような声にほだされてか、はたまた単にヒマ人が多いのか…。(ちなみに出席者は、Kt、Isの両インペクのほか、Ed、Ok、Oh、Gm、Sz、Sm。通訳は、両インペク。) |
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日曜日の18時すぎ、集合場所の石森楽器にプライス氏が登場。第一印象は、「でかい…」。しかも、ただ背が高いというのではなく、胸板が厚く、腕も太くて、音楽家というよりはプロレスラー。握手をした手も、たぶん本人は普通に握手しているつもりなのでしょうが、見た目のとおり握力で、こんなので楽器をもったら潰れてしまうのではないかと思ってしまうほどでした。 |
あいさつもそこそこに、用意されていたSm氏のコントラの味見を開始。ベルリンフィルにはコントラがないらしく、氏自身もエーラーのコントラを吹くのは初めてだとのこと。(訳者注1)地響きのような音で吹きまくり、リードやマウスピースについていろいろとアドヴァイスをくれました。いわく、リードがしなっていて開きが狭くなっているときは、息を「ブホーッ」(←ゼスチャー付き)と入れやすくするために、リードとマウスピースの間にカードなどを差して開きをつけてやるといい、カードはマスターカードがいい、DCは可能、JCBは…などなど(クレジットカードを差すというのは、並クラではムリかと思いますが)。(訳者注2)そして、初めて吹いたエーラーのコントラには、「Fantastic
!!」という最高の賛辞を贈っていました。(訳者注3) |
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エーラーコントラを十分堪能した後は、Kt氏のバスクラの味見に移ったのですが、いつの間にかリード調整講座になっていました。用意していたリードのバランスが悪かったらしく、右と左の厚さの違いを指摘し、早速これを削ろうという…。でも、こういうときに限って誰も適当なヤスリやナイフを持っておらず、かろうじて、Is氏が持っていた1500番のヤスリと五味氏のボンナイフがあるのみ。1500番では細かすぎて調整できないということで、ボンナイフも、一目見て「(Oh…)」という困り顔をされてしましました。ところが、そこはさすがに手慣れたもので、そのボンナイフを見事に操って調整し、Kt氏も驚くほど吹きやすいリードに仕上げたのでした。周りで聴いていただけでも、削る前と後では音の違いは明らかで、プライス氏も調整後のリードでのKt氏の音を聴いて、「Much
btter !!」を連発。ブライス氏の削り方の細かいところはKt氏に聴いていただければと思いますが、パッと見た目だけで言えば、かなりザックザックと豪快に削っていました。それも、いわゆるハートの部分もまったく臆することなく。もちろん削る量はリードによるのでしょうが、このように削ることもありなのかと、目からウロコが落ちる思いでした。ちなみにブライス氏は、リードを調整するときはナイフ又は800番か600番のヤスリを使うとのこと。ヤスリは平らに使うだけでなく、丸めて使うとも言っていました。 |
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このまま永遠に楽器講座が終わらないのだろうかとちょっと心配していた(早くビールを飲みたかったため…)ところへ閉店による追い出し勧告を受け、ようやく飲み会へ。プライス氏は全く好き嫌いがないとのことで、Is氏が、中華(「Chinese
food」)か居酒屋(「Japanese ordinally drinking」(!?))を提案したところ、「Oh!!
Japanese ordinary drinking !!」と言うプライス氏の言葉で居酒屋が選ばれました。(訳者注4)そして行った店は、予想通り、いつも例会の後に行く新大久保駅前の居酒屋。 |
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両インペク以外英語を話せない・聞き取れないということもあり、なかなか直接のコンタクトが取れなかったのですが、それでもいろいろと興味深い話を聴けました。
プライス氏は、日本をとても気に入っているようでした。たとえば、日本の禅に興味を持っていて、それに関連する文献を読んだり、鎌倉まで行って大仏を観て感銘を受けたりしているそうです。そしてこの土日にはKt氏の車で軽井沢へ行き、途中日本の自然に触れることができて喜んでいたとのこと。また、プライス氏は腰を痛めていて、医者から、日本に行くなら温泉に入ってきたらいいと言われていたらしく、Kt氏が温泉に連れて行ったところ、「ここは(ドイツのバーデンのように)水着を着ないといけないのか?」、Kt氏「いやいや、日本の温泉は裸でいいんです。」。すると、「Oh! Japanese traditional おんせん!」と大喜びで、ぬる目のお湯に1時間ほどつかって「ゴクラク、ゴクラク!」(むろんKt氏が仕込んだ言葉)と御満悦だったようです。腰の具合も本当によくなったらしく、「Really!? Fantastic!! Bier,Bier!!」と絶好調だったとのこと。
また、ホルツの会には、楽器の関係で家族に「secret」をたくさん持っている人が多いということを知って、「secretはいけない。私は何のsecrettも持ってないよ!」(もちろん冗談まじりで)。この他にも面白い話はたくさんあり、また、半分(?)本気の演奏会計画の話も持ちかけられたりしましたが、その辺りはまた例会のときにでも…。 |
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そして、プライス氏は、演奏会で月曜から浜松、札幌と回った後、再び東京に戻ってくることになっているのですが、20日(海の日)にもまた飲み会を…という話になりました。なんと、囲む会は第三次まで開かれるのだろうか…(第一次は、14日(金)の演奏会終了後で、Ed、Om、Kt、Hd、Ishさんが出席)。別れ際には、メンバー全員あの大きな体で熱い・暑い抱擁をされてやや面食らっていました。
ということで、人なつこくて、ユーモラスで、陽気で、豪快なプライス氏を囲む会は、和やかなうちに終了したのでした。 |
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注1:コントラは、金属製の物を使うそうです。もちろん、フレンチスタイルの運指です。 |
注2:カードはダイナースがベスト。マスター・カードはどうだ、と聞いたところ?の顔。ヨーロッパでは、ユーロカードがマスターカードと提携しているため、ユーロカード?と聞き直したところ、使える、との話。 |
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注3:楽器の状態については、最適(optimal)、と激賞。欲しそうな顔をしていました。ただし、現在彼は1本もクラリネットを持っていません。「全部、売ってしまった(なぜならベルリンフィルが楽団の備品として購入してくれるからです。バスクラやバセットホルンも…)。演奏することが大事なんだよ。」と哲学的になっていく。彼はともかく、我々に誰が楽器を貸してくれようか?いわんや、エーラー吹きに誰が...。 |
注4:当初、居酒屋に行くことについて、少し悲しそうな顔をしていました。「ほんの少しで良いので、何かを食べたいのだが、...。」そう、ドイツのビールハウスでは、ビールだけで数時間過ごすこともまま有るため、それを心配していました。「大丈夫。食べながら呑むのさ。」と言ったところ、ニッコリ。「僕は余り飲めないけど、...。」と、言った彼はかなり召し上がった後、勘定を頼んでいる刹那にも「すみません。ノッホ・アインマル(noch einmal:もう一杯)。」
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なお、プライス氏との飲み会(第3次)は、予定どおり20日(木)にも行われ、文中の「半分(?)本気の演奏会計画」についてもなんとか解決の方向性が見出せて、11月の再会を約束してお別れしました。 |
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(2000/7/17 by Oh & Is) |