HOLZの会 Berlin Tour'98 (98/8/28-9/1)

by Kt 98/9/12-18



8/31(月)
 
 ということで、昨日のコンサ−トは最高!だったんですが、この日はベルリンにきた目的のもう一つ、木管楽器専門店、「ホルツブレイザ−(Die Holzblaeser)」を訪問しました。 

 この店を通じて、HOLZメンバ−がすでにO.エ−ラ−のオリジナル楽器を購入している事はご存知の方も多いかと思います。 ホテルから地下鉄で10分ほど南に下ったところにあるお店は、おもては落書きがあったりしてあまりパッとしないのですが、中に入ると、とってもきれいで落ち着いた雰囲気のショ−ル−ム。 L字型の店内は石森管楽器さんの1F部分の4倍近くはあったでしょうか、また地下室には試奏室も2つあり、結構な広さを持っています。 
 ショ−ウィンド−にはエ−ラ−式のクラが並び、カウンタ−の中には、ヴ−リッツァ−、ツィンナ−などのエスクラ、バスクラも含めたマウスピ−スがまさにごろごろしている状態! おもわず「ここは宝の山じゃ!まさに聖地訪問!(笑)」と呟いてしまいました(^○^)。そして我々が訪問した趣旨を告げると、主人のト−マス・ライヒレが「良く来てくれた!」とコ−ヒ−やお菓子と共に歓待してくれました。 面白い事に、ウィ−ンの反対でドイツタイプの商品しか置いていないため、わたしが結果として一番おいしい思いをしてしまいました。(^_^) 

 
楽器(B管)を持って行ったので、早速マウスピ−スの試奏から。 とにかく一杯あるので全部は吹けませんが、ヴィオット(Viotto)の製品で、日本に入っていないタイプ(ノルベルト・カイザ−)や内径をもっと削って息をより入りやすくしたプロトタイプなどをとりあえず味見することに。 なかにはコントロ−ルの難しいタイプもありましたが、上に紹介した2つは結構いけるかな?と感じました(実は日本に戻ってから頼んでいたりして・・・)。 私が今使っているのはヴ−リッツァ−のB2というモデルですが、ト−マスはこのモデルを知りませんでした。 しかし彼の話によると、 
「ドイツではプレイヤ−が自分専用のモデルを使っているケ−スが多い(ということはヴィオットのように個人で作ってくれる人がいるということ)。 
 かつて故ヘルベルト・ヴ−リッツァ−がパイパ−ズのインタビュ−で話したマイスタ−制度、つまり個人商店によって楽器が発展してきたドイツの歴史をまさにもの語る話)そうした専用モデルをヴ−リッツァ−が買い上げて商品化することがあり(C4やD4など)、自分の判断ではニュルンベルグのオケのプレイヤ−のモデルと、このB2はそっくりだ。」とのこと。 そういえば、はかりで重さを量ったり、棒をいれて内径を計ったり、やっぱりドイツ人だな、という一面も見せていましたね(笑)。 

 また私の楽器を見て、「この黒いタンポは何だ?調整はどうするんだ?」ということになり、 
店の奥からはマイスタ−まで出てきて、虫めがねで拡大して見始める始末。 彼は石森管楽器を知っているので、「石森さんオリジナルの特殊タンポで、プロトタイプゆえ日本(というか)世界に一本しかない」というと、深く納得したようでした。 さすが、楽器を見る時の目の付け所がなかなか鋭いですねえ。(おもわずこちらも感心) 

 続いて楽器の試奏及び撮影に(基本的にすべてエ−ラ−式のA/Bセットです)。 ホ−ムペ−ジのカタログに載っていた数々の銘器が奥から出るは出るは・・・・・。 

 まずは初登場、旧東ドイツ系の銘器、O.ナイトハルト(O.Neidhardt)。 H.ヴ−リッツァ−にも匹敵するほどの仕上がり及び性能で、その音はまさにO.エ−ラ−直系とも言えるほどの素朴な「木(Holz)の音」がしました。 ドレスデン歌劇場のメンバ−などが使っているというのもうなずけます。 難点は年間A/Bセットで6組ぐらいしか生産していないため、新品は4年待ちの状態。(おいおい、昔のヴ−リッツァ−だって2年待ちだったぞ!)中古でも割合いい値段をしているのもそれが原因でしょう。(新品はヴ−リッツァ−並み)続いてH.ヴ−リッツァ−1967年製のプロトタイプ。確か旧東ドイツから亡命した後最初の製品が出たのが1962年ですから、相当の初期モデル。 で、何がプロトタイプかといいますと、リフォ−ムド・ベ−ムに良く付いている改良Bシステム(中音域のBの抜けを良くするための専用の穴を設けるシステム)を搭載しています。ここでは、Aキ−とオクタ−ブキ−を押すと、同時に横にある補正孔が開くようになっていました。また、右手の中指のキ−も、現在のようなカバ−ドキ−ではなく、リングキ−(O.ハンマ−シュミットと同じ)になっています。 これもまた30年以上も前の楽器とは思えないほどの鳴り、音色、音程。 
メンテナンスもしてあるのでしょうが、キ−のがたつきもありません。個人的にはこれが一番よかったかな、とも思いました(お金があったらねえ〜)。 

 お次はO.エ−ラ−の協力者でもあったG.グレ−セルの楽器。 システムとしてはこれが一番面白かった!! あのオスカ−ル・クロル著作の「クラリネット・ハンドブック」(日本語訳は廃刊になっているらしい。HOLZの会の参考書のような本だ!)にも出てきたグレセ−ルのパテント(特許)Bシステムが付いていました。 これは先ほどのヴ−リッツァ−とは違って、オクタ−ブ孔とB専用孔のどちらかが開くシステムになっています。(丁度シ−ソ−のような感じにキ−が連結している)さらにB管にはFis/Gisトリルシステム(これがあるとA管の読み替えが非常に楽になる、カルメンのソロがいい例)、右手サイドキ−が5つある(上から2番目の孔はハンマ−シュミットとヴ−リッツァ−では位置が違うが、両方の孔を兼ね備えている)なども付いていました。 HOLZ学術研究班としては、非常に興味をそそられる逸品であったかと思います(委員長、ご検討のほどを・・・(笑))。 

 この他にもヘルベルトのお父さん、F.ヴ−リッツァ−の楽器(A/B,及びバスクラ)や 
K.ハンマ−シュミットのバスクラなども在庫があり、試奏もさせていただきました。 

とにかくエ−ラ−式に関する楽器及び小物がいっぱいで、一日中いても退屈しないのではないか、と思ってしまった位でした。 またせっかくですので、何かいいものがないかと物色したところ、ヴ−リッツァ−製と思われるマウスピ−スケ−ス(4本入り)を発見(笑)しまして、即購入。またCDも2枚買ったところ、1枚はマウスピ−スケ−スを買ったサ−ビスでタダ、もう1枚も割り引きをしてくれました。感謝感謝(^○^)!! また9月には日本に仕事で来日するそうなので、日本での再会を約束して店をあとにしました。 

 
 結局お昼過ぎまで長居をしてしまったので、午後は自由行動ということに。 そして前日約束をしたとおり、夜9時にヴェンツェルと奥さんがホテルに迎えにきてくれて、一緒に夕食をとることになりました。 連れて行ってくれた店は、ホテル前の通りの並びにあるイタリア料理屋。 この店、実はあのアッバ−ドがベルリンに居る時によく来る店で、ヴェンツェルも何度か来ているそう(それでホテル・ヴェンツェルを知っていたわけだ・・・)。 ということで、お店のシェフもサ−ビスしてくれたのですが、この人がわかりやすく言うと、「イタリア人のオカマ」(失礼!)でしてですね、これまたわかりやすい日本語に意訳すると、 
「あ〜ら、いらっしゃい。 今日はクラウディは一緒じゃないの〜ん。 まあヴェ〜ンツェル、お友達を連れてきてくれたのね〜。 じゃあ、今日はクラウディに出してるのと同じメニュ−をサ−ビスしちゃうわ〜、ウッフン!」
てなことを言ってたようでして・・・・(^_^;)。 
 
 まあそういうことで、最高の白ワインとともに、シェフ手作りのナポリ地方の料理を、ご馳走になりました。(もちろんデザ−トもティラミス、パンナコッタetcが山盛り!)この料理、本当にめちゃめちゃうまかったですよ! 
 
 この日はあまり難しい音楽の話はせずにいろいろ雑談をしたのですが、ひとつだけ興味深い話をすると、将来のシェフ(もちろんBPOのね!)については、まだなにも決まっていないようですが、巷で言われるマゼ−ル、バレンボエムといった大物候補だけでなく、意外と若手(といったって40代位)の指揮者も内部では候補として囁かれているようですね。(それが誰かはここではナイショ!)この話はあくまでもうわさ話程度の内容ですので、誤解のないように・・・・・。 
そして翌日のフライトが夕方であることを話すと、ヴェンツェルが 
「明日の午前中に自分も練習に行くので、フィルハ−モニ−の中を案内しよう!」
と言ってくれて、即OK!最終日まで気の抜けないツア−(笑)となったのでした。 

PS 
 子供たちへのおみやげに、2人の方が大ハシャギ!! 
キティちゃんの最新電子グッズを見て、奥さんは「わたしもやりた〜い!」(笑) 
ヴェンツェルにいたっては、じゃんけんがおしりに付いたペンをみて、 
「孫の手だ(笑)!!」 (よく知ってたな) 
「今度ソロを吹く時や指揮者に指されたらこれで、ハイッ!!と手を挙げよう!!」 etc. 
ヴェンツェルさん、あなたは本当にBPOの首席なのでしょうか?(笑)

 


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