はじめてのエーラー式クラリネット



悪魔のささやき

エーラー式クラリネットを購入する人が、納品までに慣れておきたいということで、
YAMAHAエーラー式クラリネットを別の会員の人から借りた人がいました。
ある日、HOLZの会の練習のとき楽器を返すために持ってきて、
YAMAHAエーラー式の持ち主が、帰りの荷物が多いとか言いながら、
 
「エーラー式、難しくないですよっ。これもって行きますか?」
 
エーラー式の音色の魅力がなんとなくわかってきていたので、
エーラー式もえ〜ら〜?かも」なんて思いつつ迷っていると、
 
「実際に体験してみないとわかりませんよ!
年末の休みに練習してみてください。」
 
とクラリネットの入ったケースを親切にも渡してくれたんです。
「そうだなぁ。オケの定期演奏会(絶不調でした、反省・・・)も終わったし、
気分転換をしてみようか?」などと思いつつ、気がついたら、
両手にクラリネット・ケースを持って、2次会の飲み屋を探して歩いていました。
 
同じ、ハンマーシュミットでベーム式を使っている人が、
「だめですよ、遠藤さんしっかりしなきゃ!」
 「そうでなくても最近ベーム式の人数が少なくて不利なんですから・・・」
と、今、私のおかれている精神状態がわかったらしく、
冷静に諭してくれました。
「でも、何事も経験だから・・・。」
「全然知らないのも、なんだかなぁ・・・。」(Enさんごめん)
と思い、どんなものなのかという好奇心いっぱいに、帰りを急ぎました。
こうして、私のエーラー式クラリネットの体験が始まったのです。
ちなみに、「エーラー式クラリネット使い」が「ベーム式使い」によく言う
「エーラー式、いいですよぉ〜」
というのをホルツの会では、悪魔のささやきと呼んでいます。
 
実際の話、どんな感じなのか私の体験をお知らせしましょう。
(やれやれ...、これからどうなることか...)
(98/3/7 by Ed)


まず、マウスピース
 貸してもらったエーラー式クラリネットは、YAMAHA製、YCLー457ー22でした。YAMAHAのエーラー式は、ドイツタイプ(Wurlitzer)をベースにして設計されているようなので、私の楽器(Hammerschimdt)とは少し感じが違うようです(と思う)。 たるの内径はドイツ・ウィーンタイプのように太いタイプなので、現在のマウスピース(Hammerschimdt #0)は、少し余裕があったけどうまく入りました。 マウスピースは、ウィーンタイプで本体はドイツということで、マッチングはどうなのかなどと思いましたが、とにかく音を出してみました。 比較的音は出しやすいと思いましたが、指が思うようにホールをふさいでくれません。
 まず、楽器を手にした感じは、ハンマーシュミットと比べ細くて軽いようです。だけど私にとって右手の中指あたりから小指までは狭いようです。この事は実際に練習を始めてみると、結構きついことがわかりました。 それにしても、ベーム式クラリネットのシンプルさとはちがって、複雑そうなメカニカルな動きを見ていると、楽器というより工芸品みたいな感じがしました。きっと理工系で、子どものころ機械いじりが好きだった人にはたまらない魅力があるように思いました。


教則本が、G Durから始まるわけ
 エーラー式クラリネットの指使いを、ベーム式と比較してみると、#がある時に有利のようです。
Jettelの教則本を見ながら練習しようとしたら、C Durではなく、G Durから始まっていました。

代表的な指使い詳しくはここ)を見てみましょう。
 

G Durだったら楽なようです。
 
F/B
Boehm   ● ● ● ||● ○ ○      
○●
Oehler   ● ● ● ||● ● ○      
○●           ○B/F
  ● ● ● ||● ○ ●      
○●
 
Fis/H
Boehm   ● ● ● ||● ○ ○      
○●           ○5
  ● ● ● ||○ ● ○      
○●
Oehler   ● ● ● ||● ○ ○      
○●
 

でも、Fは結構大変です。FーEsなんてどうするんでしょうか?
 
F
Boehm   ○ ○ ○ ||○ ○ ○      
○●
Oehler   ● ○ ○ ||○ ○ ○      
○●   ○F
  ○ ● ○ ||○ ○ ○      
○●
 

この感じがたまらない(C)
 このCの響きは吹いてみないとわかりません。なにが違うってこれがいちばん違います。でも少し慣れないとうまく出せません。Boehm式で同じ指(H)の替え指がうまく出ないのとおなじですね。
 
C
Boehm   ○ ○ ○ ||○ ○ ○      
○●
Oehler   ○ ● ○ ||○ ○ ○      
○●
 
 でも、もっと大変なことがこのあとわかりました。


右手がしびれる
 でも、もっと大変なことが待っていたのです。ベーム式の左右の小指が使うキーの数が次のように違います。
ですから、ベーム式では右手小指で4つのキーを操作するのに、エーラー式では2つのキーを操作することが大きく違うように思いました。 ベーム式では、Cis、Hが左右で選べますが、エーラー式では、キーにについているローラーで、指を滑らすことにより解決します。 ベーム式でも滑らすことはできますね。
 
Boehm 2(3)
Oehler 2(4)
 右手のEsーCの指使いは、難しいと思いました。Es⇒Cは出来そうでしたが、C⇒Esは出来ませんでした。
また、H(左)⇔Dをするには、右手小指が同時に動かなければならないことも、結構思い通りにならない理由のようです。
このあたりの練習、特に右手中指、薬指が関連する指使いになると、とたんに右手がしびれてきて指が動かなくなってしまいました。 聞けばハンマーシュミットでは、楽器自体が重いのでさらにつらいそうです。 エーラー使いに相談したら「慣れです」の一言。 「しびれたら休み、休んでは練習するうちに動くようになる」そうです(本当かなぁ)。

 実際、ベーム式に比べ右手の指の間隔が広がっているので、人差し指が余る感じがします。 ですから右手は、意識的に楽器に対して垂直にするような感じにしないとうまくゆかないようです。 私には右手人差し指を意識してふさぐようにしないとうまく音がでない(隙間がいつのまにかできてしまう)ことがありました。 それと右手親指の指かけの位置も微妙に影響を与えている感じを受けました。 これらの感じは楽器によって微妙に違うのだそうです。 

 指使いだけだと、なんでこんなことをするのかと思ってしまいますが、その音の響きに慣れてしまうと「いいですよぉ〜」が少しわかったような気がしました。
 

「う〜ん、これはもしかしたらいいかもしれない」、
 
「なまじベーム式を持っていると、どうしても楽な方ーベーム式ーにもどってしまうので、
ベーム式は無いものと思わないといけない」、
 
「でも、それってとってもつらいこと?」
 
などと、不安がよぎるのでした。
「うん、これをやるんだったら買うしかない?!」

ちょっと体験するだけのつもりだったんだけど・・・・・。

(98/4/13 by Ed)
 

 

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