先日、ベルリンフィル(BPO)2番兼バスクラ奏者のマンフレッド・プライス氏のバスクラレッスンが遂に実現しました。これは、昨年来日したBPOの、W.フックス氏以下のクラリネットセクションと親交を深めた際に、プライス氏が今年2月にサロンオケのメンバ−として再び来日する事を聞きつけた図々しい第一インペク(要は私の事ね(^^ゞ!)がお願いしたところ、なんとあっさりOKを出してくれた事から始まりました。そして2月になってツア−コンサ−トが始まり、メンバ−が東京に移動して来たところを見計らってホテルに連絡先を伝えたところ、翌日の朝に彼から電話がかかってきました。もちろん私の事は覚えておりまして、「元気かい?レッスンの事は覚えているよ。
今週のスケジュ−ルはどうなのかね?」といった具合。
そこで東京公演のある2/25(木)の午前10時から、と言う事になりました。
そしてこれに同行したのは、通訳をお願いした「HOLZの女王様」ことOm嬢と、実はその前日、私が右足を怪我したために車の運転が出来なくなったので臨時ドライバ−として頼んだ私の母の2人でした。ロビ−に着くと、プライス氏のにこやかな笑顔が待っていました。2人を紹介しつつスケジュ−ルを聞くと、「ホテルの部屋でやるけど今掃除中なので、コ−ヒ−でも飲みに行こう。実は朝食がまだなんでね。怪我は大丈夫かね。バスクラは重いから僕が持ってあげよう。」ということになり、なんとわたしの楽器を運んでもらってしまいました。(いや、申し訳ない)コ−ヒ−を飲みつつ、日独文化比較論などを交わして盛り上がったあと、いよいよ彼の部屋でレッスンが始まりました。まずは楽器を組み立ててリ−ド&マウスピ−スのセッティングを見て貰うと、(MP:ヴ−リッツァ−の**、リ−ド:シュトイヤ−のソロゴ−ルド2 1/2)「これで良い。とっても吹き易いよ」とまずは合格。
そしてわたしが音を出すと、すぐにいろいろな事を話し始めました。
「まずもっとたっぷりと息をとること。でないと楽器がならないよ。そのためにはズボンをリラックス(!)させて腹筋&背筋を使う事。ぼくの脇腹を触ってみて。こんなに動いて支えているだろ。(シュミ−ドルの公開レッスンでも同じ事をやってましたね(^^))
それからバスクラは楽器が長いのだから、ステ−ジの上から客席まで音を飛ばすには、ベルの部分にまで息を届かせているイメ−ジを持って吹く事。
基礎練習としては、下のC(加線1本)から上のC(加線2本)の2オクタ−ブを
スケ−ルで上がって上のCでタンギングしてからロングト−ンをしてetc・・・」
といった話をしながら実際の目の前でバンバン吹いてくれるのですが、この音がなにしろスゴイ音でして、低音は太くてかつ柔らかな響き、高音はさらに甘い音色(まるでサックスの如きその響きよ!ちなみに彼はサックスの名手でもあり昨年のジルベスタ−コンサ−トでその演奏を聴いた方も多いのでは)が加わっている感じ。
目からウロコが落ちたというか、
「普段耳にするバスクラの音はなんだったんだ!」と思わず呟いてしまった次第。
体格が良い性もあるでしょうが彼にとってバスクラは、我々がA/Bを吹くのと同じ感覚で吹いているのでは、と思う位余裕のある吹きっぷりでした。そしてもっか練習中のラフマニノフの交響曲第2番のバスクラをみてもらうと、お手本を見せてくれるその音を聴くだけで「たまらんぞ!」
「ひとつのフレ−ズだけでなく、大きなフレ−ズを常に感じながら演奏する事。」
「バスクラはキ−が大きいのだから早いフレ−ズで遅れないように」etc。
楽器を吹く基本としてわかってはいるつもりだったのですが、このように本物のプロの音を目の前にして、まだまだ勉強不足を痛感したあっという間の2時間でした。そしてこの夜は、BPOのメンバ−を中心したサロンオケ、「ディ・ベルリナ−」をオペラシティにて聴きました。(参加したのはOm嬢、Hd氏、Ism氏)いつものBPOとは違ってリズム隊も入ったこの演奏は、冒頭の「ベルリンの風」からかなりいい感じ!
プライス氏はチャップリンの映画で有名な名曲、「ライムライト」にてアルト・サックスのソロを吹きましたが、その美しさには本当に涙が出そうになるくらいでした。
またホルン奏者K.ヴァレンドゥルフ氏による日本語による名(迷?)司会に会場は大爆笑!普段とは違うBPOの新たな魅力に接したコンサ−トでした。
終了後の宴会には、歌姫として参加しているウラ・ベ−レンス嬢も加わり、大いに盛り上がりました。来年(2000年)の2月に再びこのサロンオケは来日するそうですので、次回には皆さんもぜひ会場に足を運ばれてみてはいかがでしょうか?今回はうまく文章にまとめるのに苦労しました。書ききれなかった細かい話もいくつかあります。ご質問があれば、HOLZの例会にてよろしくどうぞ。
(99/4/3 by Kt)