HOLZの会おすすめCD/VIDEO
Last Updated on 2004/11/08

  • 「安らぎの音楽と自然」シリーズ7〜「クラリネット」(2004/10/30)
     曲ごとにそのエーラー吹きが誰なのかを詮索するのも一興だが、このCDの最大の聞き物は実はベーム・クラにある。と言うのは、今では中々聴けない元ロンドン交響楽団の名首席奏者、ド・ペイエの演奏が素晴らしいからだ。 
  • ビョンド・サイレンス
    「もしエーラー式クラリネットを吹いていてくれれば」と思うのは、極東の一ホルツ会員の感傷に過ぎないのだろう。


 
Mr. Holland's Opus
「陽のあたる教室」(1995年、米)
 この映画の原題は「Mr. Holland's Opus」。その意味するところは感動的なラスト・シーンで明かされる。
 時はアメリカ激動の1960年代。リチャード・ドレイフィス扮するホランド先生は作曲家志望だが、生活安定のために高校の音楽教師になる。そこで待ち受けていたのは、やる気のない生徒達と、どん下手くそなオーケストラ。
 当初は授業の合間に作曲でもしようなどと甘い考えを持っていたホランド先生だったが、次第に生徒に音楽の素晴らしさを教えようと夢中になっていく。

 そこで登場するのがクラリネットを吹くラングちゃんという可憐な少女。3年もやっているのにリードミスの連発である。ホランド先生は彼女に特訓をほどこすのだが、その練習曲というのが、英のジャズ・クラリネット奏者、アッカー・ビルクが吹いて当時一世を風靡した"白い渚のブルース"。下のソのオクターブ跳躍から始まるフィンガリングも正しい。クラリネットはプラ管で、当然のごとくベーム式。サイドキイの形状からしてノブレかバンディーあたりだろう。『楽譜に頼らず目をつむって吹いてごらん。音楽は心で奏でるものだよ。』と教えると、あーら不思議、リードミスはどこへやら急にジャジーに吹けちゃったりするのである。お試しあれ。
 話を端折って30年後。教育予算の削減で音楽の授業が無くなり、ホランド先生は突如学校から解雇される羽目に。
そして学校を去る最後の日、講堂にかつての教え子たちが押し寄せ、お別れパーティーが開かれる。そこで壇上に立ち演説するのが、今や州知事にまで登りつめたラングおばさんだ。『先生は今、作曲家としての富も名声も無いけれど(ほっとけ)、音楽を通じて私たち教え子をより良い人間に育ててくれました。ここに集まった一人一人こそが先生の作品(Opus)なのです。』そして卒業生で編成する大オーケストラが、ホランド先生作曲の「アメリカ交響曲」を盛大に演奏して幕を閉じる。
 「ミュージック・オブ・ハート」などとも通じるやはりどことなくアメリカンな映画ではあるが、耳に障害を持って生まれた息子との確執や、特訓のお陰で卒業できた大太鼓奏者のベトナムでの戦死、歌手志望の女生徒との淡い恋などを織り交ぜて、それなりの深みを感じさせる名画に仕上がっている。それにしてもラングおばさん、州知事だったら教育予算を復活してあげなよー!と思ったのは私だけでしょうか?
(2004/9/20 by Gm)



おすすめCDではないけれど・・・・・
JENSEITS DER STILLE
ビョンド・サイレンス(1997年、ドイツ)
 97年東京国際映画祭グランプリ・最優秀脚本賞受賞作品
 98年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
 「ビヨンド・サイレンス」という映画をご覧になっただろうか。「静寂を超えて」というほどの意味だろうが、珍しくクラリネットが準主役級の映画である。
 舞台は南ドイツ、ミュンヘン。聾(ろう)の両親に育てられているララという女の子がクリスマスに叔母さんから1本のクラリネットをプレゼントされる。めきめきと上達し演奏家を目指そうとするララと、それを励ましつつも今までの平和で静寂な世界から音のある世界に旅立ってしまう娘を複雑な気持ちで見守る両親という設定である。
 肉親への愛と自立への欲求、ララは心の葛藤を克服しながら逞しく成長していく。決して派手さは無いが、美しい映像と音楽によって観終わった後、深い感動に誘われる映画である。TVのメロドラマを幼いララが手話で母親に同時通訳するシーンが可笑しい。

 
 ララがその演奏に感動し、演奏家になる決意をする場面でクラリネットを吹いているのは特別出演のギオラ・ファイドマン。今や伝説的なユダヤ音楽の名手で、独特のむせび泣くような音と演奏は彼ならではのものだろう。(元イスラエル・フィルの首席だったとか)彼のアドヴァイスによるものか、映画の中でララは管体にスワブを通したり、トーンホールに溜まった水を息で飛ばしたり、リガチャーを締め直したりしてリアリティーを高めている。少女時代と成人してからと2人の女優がララ役を務めていて、クラリネットに関してはどちらも全くの初心者だったそうだが、アンブシュアといいフィンガリングといい、とてもそうは見えないのはさすがだ。
 さて、ホルツ的観点から見て実に残念なのは、ドイツ映画でありながら使用されているクラリネットがS社製のベーム式であること。ミュンヘンよお前もか!と叫びたいところだが、ドイツ本国においても教育現場を中心にエーラー式のクラリネットはベーム式に駆逐されつつあるようだ。この映画、世界的にかなりのロングランを記録したというだけに、もしララがエーラー式のクラリネットを吹いていてくれれば、その退潮に幾ばくかの歯止めが掛けられたのではと思うのは、極東の一ホルツ会員の感傷に過ぎないのだろう。
(2002/1/2 by Gm)

廉価版お宝CDシリーズ〜第4弾〜
山下教授の陰謀
「安らぎの音楽と自然」シリーズ7〜「クラリネット」
 先日、JR新横浜駅構内のショップで興味深いCDを買った。J-MUSIC Tokyoというところから発売されているこのCDは「世界リラクゼーション協会」の山下教授という方が監修された権威ある?ものらしいが、「楽器と自然の音との語らい」というサブタイトル通り曲の前後に波の音や鳥の声、小川のせせらぎなどが収録されていて、聴くほどに心と体がリラックスし癒されるのだそうだ。
 収録曲は全部で10曲あるように書かれているけれど、実際は1曲目と2曲目が同じモーツァルトのクラ五の1,2楽章。3と4はモーツァルトのクラコンの1,2楽章。7と8はブラームスのクラリネットソナタ第2番の1楽章と3楽章である。しかも、ほとんどの曲が演奏途中でフェードアウトして波間に消えていくという趣向になっていることを先ず承知しておく必要がある。だからモーツァルトのクラコン第1楽章など前奏が延々と長いので、クラのソロが出てくると間もなくフェードアウトというようなことになるが、そんな事位で腹を立ててはいけない。それと、このCDは潮騒の音から始まるので、音量が低いと勘違いして思いっきりボリュームを上げちゃわないように。
 さて、このCDの特筆すべき点は、選曲と演奏者にある。
 まず、上に挙げたクラリネットの有名定番曲以外の選曲がかなりユニークだ。プーランクの「クラリネットとファゴットのためのソナタ」、シュポア「ラリネット協奏曲第1番第2楽章」、ロブレッリョ「椿姫の主題による幻想曲」というマニアックな曲が選ばれている。プーランクを聴いたのは初めてだったが(つまらないけど)、山下教授は余程のクラリネットオタクに違いない。
 そして演奏者にも謎が多い。カバーによれば、オケは「イギリス・フィルハーモニー」、「ボストン・シンフォニック」、クラは「レジナルド・ケル」(古〜い!)、「ジェルバーズ・ド・ペイエ」他となっているのだが、例によって廉価版CDの表記はにわかに信じがたい。第一、そんな名前のオケは2つとも聞いたことがないし、ケルもド・ペイエもイギリスの奏者なのに、モーツァルトのクラ五とクラコン、ブラームスのクラ五は、明らかにドイツ管の音色だ。(と言うよりウィーン管か?音色に加え、エーラー式はキー・ノイズが大きいので耳を澄ませばすぐそれと判る)
 曲ごとにそのエーラー吹きが誰なのかを詮索するのも一興だが、このCDの最大の聞き物は実はベーム・クラにある。と言うのは、今では中々聴けない元ロンドン交響楽団の名首席奏者、ド・ペイエの演奏が素晴らしいからだ。ブラームスのソナタとシュポアは紛れも無く往年の彼の演奏。ゆるやかなヴィブラートがかかった明るい音色と、キレの良いテクニックはド・ペイエならではのものだろう。一歩間違えばムードジャズ・クラリネットにも聞こえかねないその音色はドイツ物にはやや違和感を覚えるけれど、メロディックで技巧的な「椿姫幻想曲」では彼の天分と美質が遺憾なく発揮されている。やった人は分かるだろうが、同じヴェルディの主題を元にしたバッシの「リゴレット幻想曲」に比べても速くやるのは格段に難しい。ド・ペイエがこんな曲を録音しているとはつゆ知らず、初めて聴いて驚嘆した。随所で見せるその"耳にも止まらぬ速さ"と言ったら、、、唖然である。
 リラックスどころか眠気も醒めるようなこの演奏が、なぜCDも終盤の9曲目に位置しているのか?恐らくは心理学的に深ーいワケがあるに違いない。幸いなことに、この曲だけは水中に没することなく完全に収録されている。この演奏だけで購入代金1,200円也の価値ありと言っても過言ではなかろう。しかもモーツァルトの五重奏、クラコンと、ブラームスの五重奏の演奏は、恐らくウィーンの一流演奏家達による格調高いものばかりで、例えばモツ五のクラは間違いなくボスコ、、、しまった!いつの間にか山下教授の術中にハマってしまったらしい。
(2004/10/30 by Gm)

Ensenble Sonorite
クラリネット四重奏団 アンサンブル・ソノリテ

収録曲:
 モーツアルト/ディヴェルティメント K136
 グランドマン/クラリネットのための狂詩曲
 チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ
 モンティ/チャルダッシュ
 ピアソラ/タンゴの歴史
 ボンファ/黒いオルフェ
 ポラック/ザッツ・ア・プレンティー

Ensemble Sonorite:
 青山 秀直/Hideo AOYAMA
 小俣 静香/Shizuka OMATA
 西川 陽子/Yoko NISHIKAWA
 青山 映道/Terumichi AOYAMA

録音:2001/7/3,5
横浜市栄区民文化センター

発売元:
 (株)コンフォート/DiskArt
 DACD-014 



廉価盤お宝CDシリーズ〜第3弾〜
100円ショップのウラッハ
クラシック音楽5 若き日のカラヤン
モーツアルト2
クラリネット協奏曲イ長調K622
交響曲第39番ホ長調K543

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1946/1949

発売元
 素材発信 ザ・ダイソー
 株式会社大創産業
 ダイソーの100円ショップで、かのレオポルド・ウラッハのCDが売られている。
曲はモーツァルトのクラリネット協奏曲。指揮はカラヤン、オケはウィーン・フィルである。『若き日のカラヤン』シリーズ10枚の中の1枚、『モーツァルトA』に入っている。
無論モノラルだし、ジャケットにはクラリネット奏者の名前すら書かれていないが、録音年が1949年とある。1枚100円なら逡巡している場合ではない。レジで105円也を支払い早速家に帰って聴いてみると、紛れも無く正真正銘のウラッハである。私はこの演奏をLPレコードで持っているのだ。
 ウラッハのコンチェルトといえば、1954年にロジンスキー指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団をバックにした盤が有名だが、このカラヤン盤はその5年前、1949年にウィーン楽友協会の小ホール「ブラームス・ザール」で録音されたもののようだ。ウラッハ47歳、カラヤン46歳である。名器コクタンから紡ぎだされるふくよかで、どこか憂愁を帯びたウラッハの音色は、モーツァルト晩年の曲想と完全に一体となり(特に第2楽章は絶品!)、ホルツ会員ならずともこれぞクラリネットの理想の音と思わせずにはおかない。
 しかしである。何かヘンだ。レコードとCDを聴き比べてみると、明らかにレコードの方が軽快である。ストップウォッチで計ってみると、何と第1楽章で30秒、第2楽章で13秒、第3楽章で14秒、率にして3%から4%、何れもCDの方が長い事が判った。そこで今度は私の愛器YAMAHAのエーラー・カスタムを引っ張り出し、先ずレコードと合わせてみる。短い樽を付け、目一杯楽器を縮め、アンブシュアを締め上げてやっとピッチが合った。A=445Hzまで計れるチューナーの針が振り切れている。次にCD。クラリネットの関節という関節を全部伸ばしてぴったりだ。A=438Hz。これではアメリカのオケでも通用しないだろう。つまりレコードとCDでは7Hz以上の差があるのだ。
 言わずもがなだがレコードのピッチが正しい。その証拠に、当時ウラッハと共にウィーン・フィル・クラリネットセクションの双璧を務めていた、名匠ルドルフ・イエッテルの同曲のCDも、ウラッハのレコードのピッチとぴったり一致する。
 たかが7Hzとみるか、されど7Hzとみるか、人様々だろう。LPレコードから採ったとおぼしき音源は、針ノイズもワウフラも多めだが、ウラッハの音の特質や当時のウィーンの演奏スタイルは充分に伝わってくる。100円玉1個でウラッハの名演奏が拝聴できるとは、ありがたい時代になったものである。
(2001/6/14 by Gm)

 
フランク・ハンマーシュミットの響き
interclarinet
FRAO classics
B 108 011
 このCDなにがすごいって、演奏者はすっかりホルツの会でもおなじみとなった演奏者
 Norbert Taubl
 Manfred Preis
 Jozsef Balogh
 Johannes Gleichweilt
 Harald Harrer
の各氏なんです。でも、もっとすごいのはその演奏している楽器が、なんと我が愛器フランク・ハンマーシュミットなんですね。CDジャケットの裏表紙に演奏者の皆さんがフランク・ハンマーシュミットの工房の前で記念撮影しています。この写真ウィーンツアー98のなかやHdさんのブルガウ、F・ハンマーシュミット氏訪問記でも紹介されていますね。
そしてバッハ、ヘンデル、モーツアルト、ブラームスなどの他アルベニスやガーシュインのの有名な曲が演奏されているんです。その音色は艶っぽいというかちょっと独特の音色でして、「えっ、フランク・ハンマーシュミットってこういう魅力があったのね」と思わず納得してしまいました。9曲目のビブラートがかかってるんですが誰が演奏しているんでしょうか? それにしてもプライス氏のバスクラすごいですねぇ〜。
(2001/6/14 by Ed)

 
Karl-Heinz SteffensさんのCD
BLUE RONDO
DAVE BLUBECK・DEBUSSY・DONATO/GILBERTOEVANS・JONES・ONEGGER・ PARKER・POULANC・STRAVINSKY

TUDOR 7047 (1997)
Musique oblige

廉価盤お宝CDシリーズ〜第2弾〜
KIOSKは宝の山
ONYX CLASSIX
Weber
Clarinet Concerto No.2
Oberon Overture
 先日、通勤途中のJR駅のKIOSKで、1枚五百円で売られているCDの中に、ウェーバーのクラリネット協奏曲第2番を見つけた。
ウェーバーの2番と言えば、今でこそ学生コンクールの課題曲レベルの曲だが、かつて(相当にかつて)レコードでイギリスの名手、ジェルバーズ・ド・ペイエの演奏に聞き惚れた私にとって、何時かは吹いてみたいと思った憧れの曲であった。見つければ買ってしまうので、持っているレコードやCDは10種を下らないであろう。

 このCD、オニックスというレーベルのクラシック作曲家シリーズの中の1枚「ウェーバー」で、紙切れ1枚のカバーにはスラブ地方とおぼしきオケ名と指揮者名は書かれているのに可哀想にも肝心のクラリネット奏者の名前が記載されていない。もっともこの手の廉価盤シリーズ、相当怪しく、演奏者名が書いてあるからと言って実在するとは限らないという代物らしい。

 さて演奏の方は、ソリストがかのルプタチク先生よりは余程のテクニシャンでなかなか聞かせる。第3楽章のポルカも快調なテンポで始まり、コーダの難所も委細構わず吹き飛ばしている。『He,He,Donnamondai!』というスロヴァキア語?が聞こえてくるようだ。(スロヴァキアのOn君か?)オケも出だしからやる気満々で、良くソリストを盛り立てているが、合わせが足りなかったのか、指揮者が下手なのか、時にソロと抜きつ抜かれつのバトルを展開する。
 クラの音色は一言でいえば金属的で、特に高音域ではやや開き気味の印象だが、常時緩やかなビブラートがつき、レガートや弱音は弦に溶け入るようで美しい。聞き慣れる従い、これも結構良いかも知れないと思わせるところはイギリスのクラと同じだ。ただ、スタッカートが単調で全体にきつめだったり、音程が微妙にアブナかったりするのはチェコ・スロヴァキア方面のクラの共通項かも知れない。どんな楽器をどんな仕掛けで吹いているのだろうかと興味は尽きないが、世界中のクラが同じような音色に塗りつぶされていく中で、今ではめったにお耳にかかれない音色ではある。

 それにしても、このオニックスのクラシック作曲家シリーズとやら、ウェーバーといえば「魔弾の射手」でも「舞踏への勧誘」でもなく、「クラリネット・コンチェルト第2番」!という潔さがたまらない。なぜか他の作曲家の選曲は常識的で、グリーグは「ペールギュント組曲」だったり、スメタナは「モルダウ」だったりするのだが・・・。
もし、このCDでクラシック通になったつもりの人がいて『そりゃーもう、ウェーバーはクラコンの2番にトドメを刺すね!』なんて(目黒のサンマか?)言ったら・・・。案外尊敬されるかも。

 余談だが、同時に購入したC・シュターミッツ。クラリネット4重奏と書いてあったのだが聞いてみると、何とオーボエ4重奏であった。
KIOSKは永遠のアメージング・ワールドである。
(2000/Oct/13 by Gm)

 
R.イェッテルのクラリネットが聴ける一枚
Rudolf JETTEL
Historische Aufnahme
KKM CD3117-2
1993年の生誕90年を記念しての歴史的録音と銘打たれたR.イェッテルのクラリネットが聴ける一枚です。
このディスクに収められているのはモーツァルトの協奏曲(1954録音)、自作自演でクラリネットとピアノのための『3つのカプリス』(同1960)、ソロのための『5つのグロテスク』から最初の3曲(同1965)。
R.イェッテルは1903にヴィーンで生まれ81年に亡くなったヴィーンのクラリネッティスト、作曲家、教育者です。音楽アカデミーではV.ポラチェクに師事、クラリネットを学んだだけでなく、和声や対位法など作曲も修めており、ヴィーン・フィルの首席奏者をつとめる一方で後進の指導にも熱心でした。
クラリネットの体系的な学習の必要性を説き、その初歩から非常に難易度の高いものまで自ら作ったエチュードは現在でも重要な教則本として使用されています。基本的なスケールを扱ったこの中の第2巻は我々の"バイブル"としてこのサイトでも紹介している通りです。
同じフィルハルモニカーのL.ウラッハについては良く知られていますが、同時代のもう一方の雄イェッテルについて、ご存知の方は少ないのではないでしょうか。このディスクではウラッハとはまた違ったヴィーンの音色を堪能することができます。
また愛弟子でもあったシュミット先生が解説の文章を書いておられます。
(2000/5/9 by Hd)

  
軽快に演奏される若々しいグラン・パルティータ
Gran Partita Kv361 (370a)
Blaeser-Ensemble der Salzburger Mozartwoche
Leitung: Milan Turkovic
Mozarthaus Salzburg
1993年ザルツブルク・モーツァルト週間でのライヴです。このアンサンブルのメンバーはG.パッシン、R.マルツァー、G.パッヒンガー、W.ゴットヴァルト、H.R.シュタルダー、E.シュミット、M.トゥルコヴィッチ、C.ゴールディングス、J.シュテルリンガー、R.シュネップス、M.ヘルツェル、D.ビンニカーD.ローベルツといった人たちで、モーツァルト財団とORFの共同製作と思われるこのディスクは、来日時にHolz会員になったパッヒンガーさんからプレゼントされたものです。
早めのテンポで演奏されるので有名なアダージョなどは逆にもう少しゆったりした"歌"が聴きたいと思いました。(ライヴですからその場で聴いていればまた印象も随分違ったのでしょうが・・・)
しかし気になるのはこの点くらいで、全体としてはきびきびとしたテンポで軽快に演奏される若々しいグラン・パルティータという印象です。
(2000/5/9 by Hd)

廉価盤お宝CDシリーズ   
安らかな気分で聴くクラリネット・コンチェルト
CLARINET Concertos
Wolfgang Amedeus Mozart:
Concerto in A major for Clarinet and Orchestra (K.622)
Karel Stamic:
Concert in B flat major for Clarinet and Orchestra
Karel Stamic:
Concerto No.4 for Two Clarinets and Orchestra
 先日 KIOSKに併設されているショップで購入したCDを紹介します。
タイトルは「安らかな気分で聴くクラリネット・コンチェルト」。
 収録曲はモーツアルト「クラリネット協奏曲イ長調」カール・シュターミッツ「クラリネット協奏曲変ロ長調」及び珍しい「2つのクラリネットのための協奏曲」の計3曲。
 クラリネットはJ.ルプタチクという人で性別、年齢、経歴等一切不詳。この手の輸入版としては高めの1,500円だったのでちょっと逡巡しましたがカバーにクラリネットが水彩画風に描かれていて気に入ったのと、なんとそれがエーラーシステムというところが決め手となり購入。家に帰って子細に見ると、ベルギー製のこのCDは、音源はスロヴァキア、カバーデザインはオランダ、指揮者もオケもバラバラで「怪しさ度」は抜群!針を落とす?前にとても安らかな気分ではいられません。

まず、モーツアルト。オケの序奏の美しさに耳を奪われます。『おう、さすがスラブの弦!これは意外な拾い物かも・・・』とクラのソロにも期待がふくらみます。いよいよソロです。
ん?なんか聞き慣れない変な音。伝統のヴィブラートは予想通りとしても、雑音は多いし、低音は聞こえないし、高音は甲高くて音程は悪いし・・・。一体どういう仕掛けで吹いてるの???
と次々に疑問が湧いてきます。特に、モーツアルトやシュターミッツのコンチェルトの第3楽章のようなスタッカートの連続ではタンギングがきつ過ぎるのかキョ、キョ、キョというように聞こえます。もっと驚くべきことは、シュターミッツの「2本のクラのためのコンチェルト」の2ndクラが全く同じ音色とアーティキュレーションであること。でも、ハモリを聞いている内に、これはこれでいいんじゃないかと思うから不思議です。

いや待てよ、この音どこかで聞いたことがあるぞ』と古いレコードを引っぱり出して聴いてみると、ありました。年がばれるので何年前とは言いませんが、スプラフォンの25cm(!) LP。
カレル・シェイナ指揮、チェコフィルハーモニーの「田園」です。(名演)中学生時代、クラのソロがカッコ良くて擦り切れるほど聞いたものです。あらためて聞いてみるとゆるやかなヴィブラートもキョ、キョ、キョも瓜二つ!チェコ・スロヴァキアの音は健在でした。

ここからは全くの推理ですが・・・

ある業者が廉価盤のCDを作って一儲けたくらんだ。白羽の矢が立ったのがギャラが安い東欧はスロヴァキアのオケ。ソリストを頼むとコストが上がるのでクラの首席をソリストに。この人、この国では有名なクラの大御所で、スロヴァキアのハッポ先生と呼ばれている。つねづねチェコが国際化し、クラの音も無個性化してしまったことを嘆いています。2ndクラは強力なコネで入った彼の弟子。オケのメンバーは彼の多分一度限りのチャンスに心から声援を送っています。録音は無情にも1回限りで録り直しは無し。(編集するとカネが掛かるから)マイクやレコーダーは「テポドンスキー」という(勿論)安物です。

ちょっとうがち過ぎかしら?
誰かルプタチクを知らないか?

1,500円でこんなに楽しめるCDを私は知らない。

(99/4/14 by Gm)

  
ベルリン名誉会長のモーツアルト
MOZARTEUM QUARTETT SALZBURG
SFK 03
SALZBUGER FESTUNGKONZERTE
W. A. MOZART: Streichquartett B-Dur, KV 458
W. A. MOZART: Klarinettenquintett A-Dur, KV 581
MOZARTEUM QUARTETT SALZBURG
Markus Tomasi,
Alessandro Borgmanero,
Herbert Lindsberger,
Marcus Pouget.,
1.Violine
2.Violine
Viola
Violoncello
WENZEL FUCHS KLARINETTE

 
ベルリン名誉会長のブラームス
IPPNW-CONCERTS 22
(International Physicians for the Prevention of Nuclear War)
Philharmonia-Quartett Berlin 
Wenzel Fuchs Klarinette
Johannes Brahms:  Klarinettenquintett h-moll op.115
Johannes Brahms:  StreichQuartett a-moll op.51 Nr.2
IPPNW-CD-22
IPPNW-CONCERTS 
(問合せ:石森管楽器)
Kamerkonzert des Berliner Philharmonischen Orchestras vom 29.November 1997 
im Kammermusiksaal der Philharmonie Berlin "Brahms-Marathon" (LIVE) 
ホルツの会ベルリン名誉会長のCDです。ホルツの会限定頒布です。 
 

Duo Klarinetten〜クラリネットデュオの魅力〜
 白川毅夫&遠藤文江〜バッハの響き〜
 ある日、白川さんが、「CDだしました。」といって、見せてくれたのがこのCDです。 バッハは、あまり聴くことがなくて苦手なんですが、聞いてみてびっくりしました。遠藤さんは、ビュッフェクランポンR-13(右)、白川さんは、H.Wurlitzer Reform Boem '80(左)を使って演奏しているんです。 演奏はもちろんなんですが、音色の違いをこんなふうに楽しめるなんて思ってもいませんでした。 白川さんは、「バトル」といってましたが、どうしてどうしてとっても楽しい演奏であるのと同時に、ドイツクラリネットの音色を知りたい人に紹介したいCDかなと思いました。 実は、白川さんのリサイタルを聴きに行ってから、同じ遠藤ということもありますが(関係ないか?)、遠藤文江さんのファンになってしまいました(これって、とってもミーハーですねぇ)。
 ( by Ed) 

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